樹と幹と

大功建設 社長 大瀧浩司のブログ。家のこと、木のこと、子どものこと・・・日々の想いをつづります。

お施主様と大黒柱を切り出してきました。

先日、これから工事が始まるお施主様と一緒に山に行き、ご自宅で使う予定の大黒柱の切り出しをしてきました。



 

この取り組みは、究極のトレサビリティーを私が追い求めた結果、たどり着いたものです。

昔の大功の家づくりは米松などの外国の木材を使った家づくりをしていました。米松も中々良い材料なのですが、10年前位から国が「国産材、国産材・・・」と、日本の木をどんどん使っていこう的な流れになってきたので、何故そこまで国産材を推進しているのか本を読んだりして調べたところ、日本の山や林業が大変な事になっていることを知りました。

 

だったら外国の木を使わずに日本の木だけで家づくりが出来ないかと大功の家づくりを見直したところ、あっさりと国産材の家づくりに切り替えることが出来ました。しばらくして静岡県から、静岡県の木を使ったら補助金出しますよ!!という、しずおか優良木材支援制度が始まり、日本の木から静岡の木に、だんだんと範囲を絞って切り替えてみました。

 

静岡県の材木市場で、そこにある丸太がどこの山の木か尋ねた時に、明確な答えが直ぐに帰ってこなかったことで、一体どんな管理をしているのか?お客様に自信をもって静岡の木だと提供できるのか?不信感を持ったことを覚えています。

 

そこでSGECというトレサビリティーが保たれた森林認証材を使った家づくりをしてきましたが、認証材といえども山の林業に携わる木こりさんに、直接的な(金銭的な)メリットを感じられなかったので、もっと他に良い方法がないかと考えておりました。

 

地元の木を使い、トレサビリティーが保たれていて、木こりにお金が廻る仕組みは出来ないものか、色々な人に私の想いをぶつけていた時に、とある方が木こりを紹介してくださいました。その木こりが、今もお付き合いをさせて頂いているソマウッドの久米さんです。





 

久米さんに私の想いをぶつけたところ、「だったら今伐っている木を使ったら良いじゃん」と、思いもよらない回答を頂き、その当時のお施主様にも私の想いをぶつけたところ、是非お願いしたい、山にも行きたい、自分で切ってみたい、という話になり、私のモヤモヤが一瞬にして解決してしまいました。

 

それが少し前に行っていた「興津川木の家プロジェクト」です。久米さんの活動場所が興津川から富士の方に移っていった事や、静岡市産材プレゼントの補助事業との絡みもあって、今では大黒柱の1、2本に限ったものになりましたが、山にお施主様と行く活動を継続的に続けております。



 

お客様にとってこの取り組みは、私の予想通り喜んで頂けるものでした。しかし予想外だったのが、木こりの社員の皆様にとっても、とても喜んで頂ける取り組みだったことです。

 

と言いますのも、木こりの社員の皆様は、久米さんに指示された木を言われたとおりに切り倒す毎日を過ごされていて、50年60年育ってきた木を切り倒す(命を絶つ)ことに、罪悪感を持っていたそうなのですが、私がお客様と一緒に山に行くことで、今日伐る木は〇〇さんの家で使われるものか!!と、顔が見えることでかなりのモチベーションのアップになったようです。

 

また、山を下ってきたことが無い木こりの皆さんに、伐った木を使って上棟した家を見てもらった時に、「山が見える!! 今まで木を切り倒して命を絶ってきた罪悪感が有ったけど、こうして家の柱としてまた生き続けて行ける事が分かったから、すごくやりがいを感じます。」と、すごく喜んで頂けました。

 

川上の木こりと、川下のお施主様とが、こんなにも近づく取り組みは無いと思いますので、出来る限りこのような取り組みは続けて行きたいと思います。



 

今回、伐った木を使った家がどのように仕上がるのか・・・・今からとても楽しみです!!