樹と幹と

大功建設 社長 大瀧浩司のブログ。家のこと、木のこと、子どものこと・・・日々の想いをつづります。

日本を愛する大人の上映会&食事会

先日、日本を愛する大人の上映会&食事会というイベントに参加してきました。何の上映会かと言いますと、「うみやまあひだ ~伊勢神宮の森から響くメッセージ~」という伊勢神宮の式年遷宮に関する長編ドキュメンタリー映画です。



 

今回の上映会を主催して頂いたのが、朝会でお世話になっている美容室RASAさんの舘林さん、木こりのソマウッドの久米さん、着物販売レンタルのツムギヤの糠谷さん・藤田さんです。

2017-04-25 20.03.14_R

 

美容室や着物屋さんと式年遷宮? と、思われるかもしれませんが、RASAさんの美容液にヒノキの成分が含まれていたり、着物の帯の所で使われる材料が、遷宮時に奉納される物を使われていたりしているようです。(詳しく覚えていなくてウル覚えですが・・・)

 

私は式年遷宮の年に伊勢神宮に行ってきました。その時はあまり勉強もせずにただ行ってきただけでしたので、今回の上映会は復習という意味でも大変興味あるものでした。

 

映像の中で、幾つか印象に残っていることがあったのですが、その一つが、20年ごとに式年遷宮を繰り返すために、山を育てる必要があること。

 

遷宮には1万本以上のヒノキが使われているようで、樹齢200年以上のものもあったりしています。昔は伊勢の周りの山から切り出していたようですが、最近はヒノキで有名な木曽の山から切り出されているようです。

 

映像にもありましたが、木々を育てるために手入れされている山は光が多く差し込み、地面の草木も青々と生い茂り、とても幻想的な空間です。日本の手入れされていない人工林の森(右側の写真)とは違います。きっと昔はそのような山々が多かったのではないでしょうか?

hinoki-14_R 荒廃山_R

 

昔は、家を建てるために地元の木を使い、地元の職人が活躍し、地元の山と経済を豊かにする仕組みがあったはず。戦後、外国の木がバンバン輸入されてからこの関係性が崩れてしまいました。その為日本の山の木のニーズが減り、木こりが減り、手入れされた山も減り、薄暗く不気味な山が増えたのです!!

 

安ければなんだっていいのか!?

 

外国の木の代表格のホワイトウッド!! 北欧の乾燥した国に生えている木です。大型船で重油を大量に燃やして日本に輸入しても、全然日本の木よりも安いですので、安さを求める会社ではよく使われています。

 

が、日本には北欧と違って四季がある、湿気も多く、シロアリがいる。皆さんご存知ですか?下の写真のように、ホワイトウッドは4年くらいで野ざらしにしていると、木を腐らせる腐朽菌やシロアリなどによって、跡形もなくなってしまうという事を!!

taikyu001_R

 

ではどうやって家で使っているのか?ベタベタに薬剤を塗ったりして、シロアリに食べられないように対応しているようですが、シロアリを殺す薬剤がしみ込んだ柱に囲まれて暮らしていて、本当に人的な害はないのか?何年もその薬剤の効果が持続するのか?私は疑問を感じています。

 

国の事情、会社の事情でホワイトウッドなどの安い木を使わなければならない状況かもしれませんが、やっぱり、地元の木を使って、地元の職人さん(大工さん)を使って家を建て、山をどんどん豊かにしていき、水を蓄えられる山になり、ミネラルが多く含んだ川となり、海が豊かになっていく・・・こんな社会の方が良いと思いませんか?

 

式年遷宮が20年ごと行われる理由の一つに、大工の技術の継承という事があります。3代にわたって技術を伝えて行く事が出来る丁度良いスパンです。

 

私には大工の技術はありませんが、地元の木を使っていくというこの思いは、代々引き継いでいきたいと思います。創業100年まであと少し、100年先の世の中はどうなっていることでしょう。